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遺伝(いでん)とは、生殖によって、親から子へと形質が伝わるという現象のことであり、生物の基本的な性質の一つである。
素朴な意味では、親子に似通った点があれば、遺伝によるものだ、という言い方をする。しかし、生命現象としての遺伝は、後天的な母子感染による疾患や、非物質的情報伝達(学習など)による行動の類似化などは含まれない。
遺伝現象は、人間の親子関係や栽培植物、家畜やペットの育種などを通じて意識され、そのような中で、単にすべての形質が親から子に伝わるものではなく、伝わりにくい形質や、何世代かをおいて出現する形質があることなど、さまざまな不思議な点があることが意識されるようになり、科学的な解明が始められた。また、品種改良などにおいては、経験則の下で進められていたものに、はっきりした理屈が与えられれば、さらに発展が見込めることなど、実用的必要性もあった。そういう中から遺伝学が発展してきたものである。
グレゴール・ヨハン・メンデルによる遺伝法則の発見によって遺伝子の存在が示唆された。後に染色体がその担体であり、娘細胞へ分配されることにより遺伝情報が伝わることが示された。現在では遺伝子は核酸(DNAもしくはRNA)の機能的単位を示すものとして事実上定義される。このため、遺伝子≠遺伝情報であることには注意が必要である。遺伝子は遺伝情報の担体の一つである。プリオン、ウイロイドなどが遺伝子ではない遺伝情報の担体の分かり易い例としてあげられるであろう。
また、遺伝は、親と同じ形の子供を作る働きであり、他方、生物は長い年月の中では、次第にその姿を変える進化という現象を見せる。この両者は一見矛盾するので、それを説明するのが進化論である。チャールズ・ダーウィンは自説の説明のために遺伝の研究の必要を感じ、ハトの遺伝を研究したのが有名である。
最も簡単な例として、メンデルの法則が成り立つような遺伝形質、すなわち一対の対立遺伝子のみがかかわる形質で、優性・劣性の別がはっきりしている場合を考える。このようなケースで、隔世遺伝が現れるのは、劣性遺伝子による形質についてである。
両親が、ともに劣性遺伝子を一つしか持っていない場合、両親には優性の遺伝形質が発現しており、劣勢の遺伝形質は現れない。しかし、その子は1/4 の確率で劣性遺伝子を二つ持つこととなり、その場合劣性の遺伝形質が発現することとなる。このとき、もし祖父母の世代に劣性遺伝子を二つもつものが居たならば、表面上は祖父母の世代の形質が父母の世代を飛び越して遺伝してきたように見えることになる。これが、隔世遺伝の最も簡単な場合のメカニズムである。
実際には、上記のように遺伝形質の発現が一組の対立遺伝子のみで決定される場合ばかりではなく、むしろ複数の遺伝子がかかわる遺伝が多いため、隔世遺伝のすべてをこのような簡単な仕組みで理解できるわけではない。ただし、親の世代でその形質が失われたように見えても、子供の世代でその形質が発現するからには、何らかの形で親の世代の染色体の中に遺伝子が保存されていたといえるのは、すべての隔世遺伝において共通する事実である。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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